異文化教育における童話の再構築:パキスタン児童向け『桃太郎』
パキスタンの児童を対象とした音読教材を探しておりましたが、日本の昔話は語彙や表現が難解で、子どもたちにとっては理解が困難な場合が多く見受けられます。
そのような背景のもと、日本の昔話をパキスタンの文化的文脈に沿って再構築することを試みました。具体的には、ChatGPTを用いて『桃太郎』をパキスタン風にアレンジしたところ、文化的親和性を高めつつも物語性を損なわない、興味深い作品が出来上がりました。
本稿では、その成果の一例として、パキスタンバージョンンの『桃太郎』をご紹介いたします。
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パキスタン風「桃太郎」:ナーロー・カーンの物語
むかしむかし、パンジャーブ地方の小さな村に、優しいおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは毎日畑に行って働き、おばあさんは川で洗濯をして暮らしていました。
ある日、おばあさんがインダス川で洗濯をしていると、大きなマンゴーが川の上流から流れてきました。「まあ、不思議なこともあるわね」と言って、そのマンゴーを家に持ち帰りました。
家に戻ってマンゴーを切ると、中から元気な赤ちゃんの男の子が現れました。夫婦はとても驚きましたが、喜んでその子を育てることにしました。「この子はマンゴーから生まれたから、**ナーロー(ナール=川、ウ=子)と名づけましょう」と言いました。
ナーローはすくすくと育ち、力持ちで優しい青年になりました。ある日、村に住む人々が泣いていました。「どうしたの?」とナーローが聞くと、「山の向こうの洞窟に住む盗賊たちが村を襲って、牛や穀物を奪っていくのです」と教えてくれました。
ナーローは「僕がその盗賊たちを退治して、村の宝物を取り戻してくる!」と言って旅に出ました。
旅の途中、ナーローは三人の仲間に出会います。
一人目は、話ができる勇敢なヒョウ(チーター)。
二人目は、素早く走るヤギ。
三人目は、空から敵を見つけられる賢いワシ。
ナーローは彼らと友情を結び、みんなで力を合わせて、盗賊たちの洞窟を見つけました。チーターが敵をおどろかせ、ヤギが盗まれた荷物を引き、ワシが空から指示を出しました。ナーローは勇敢に戦い、盗賊の親分を退治しました。
こうして、村の宝物は無事に取り戻されました。村の人々は大喜びで、ナーローと仲間たちを歓迎しました。そしてナーローは村の英雄となり、いつまでも人々に愛されて暮らしました。
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これはほんの一例ですが、ChatGPTを利用すれば、ほかにもいろいろな物語を作ることが可能です。